大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和35(オ)720 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人小野敬直の上告理由第一点について。

所論は、本件調停の成立により、調停の目的となつた約束手形金債務が金銭の給

付を目的とする手形以外の債務に更改されたことを前提とするものであるが、原判

決が認定した事実は、本件調停は、上告人およびDが、昭和二八年三月二四日被上

告人に対し共同して振出した金一〇万円と金三万円の各約束手形上の債務(いずれ

も支払期日を同年四月一日とする)ならびに振出当日上告人およびDと被上告人間

に成立した右各手形債務の不履行に対する日歩二五銭の損害金の特約に基き既に弁

済期の到来した遅延損害金支払債務を争の対象とし、かつその支払義務の範囲を確

定し、互譲によつてその支払方法を変更する特約を成立せしめたものである、とい

うのであるから、調停調書記載の債務は、既存の債務の要素に変改を加えたもので

はなく、これと同一性質のものである、とする原判決の判断は相当である。所論引

用の判例は、本件の場合に適切でない。よつて論旨は、その前提において既に理由

がないから、採用できない。

同第二点について。

所論は、上告人が原審において、本件調停の基礎となつた乙第一、二号証の各手

形に記載してある損害金の特約記載部分が虚偽の記載であることを理由として本件

調停を取消した旨を主張したのに、原判決は、この点の主張に対する判断を遺脱し

たというのであるが、上告人の原審における右の点の主張は、結局その主張の事実

を原因として本件調停が無効であることをいうに帰すると解される。しかし右主張

事実については原判決は理由を説示して判断し、これを排斥しているのであるから、

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所論の違法はない。論旨は採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 河 村 又 介

裁判官 島 保

裁判官 高 橋 潔

裁判官 石 坂 修 一

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